2.20デモ・ボイコットまでの経過:「仮処分」申立・都(警視庁)の「意見書」・そして地裁による却下――「いまの政治のあり方を根底から変革することは可能だということ」!
2人の釈放に続いて、必ず不起訴を勝ち取りましょう!私たちは今、「不起訴を求める弁護士の意見書」をつくっています。こうした内容であり、これをみなさんにも広くアピールすることを呼びかけます。
・「勾留不必要」で釈放されている→検事が「捜査資料を見ても被疑事実は確認できなかった」と発言している。
・取り調べに“被害警官”は登場していない。
・事件のストーリーが取調室で勝手につくられていただけ。
・公務執行妨害と言うが、正当な申し入れを超過剰警備で妨害・封鎖したのは警察であり、そもそもその「公務」が正当とは全く言えない。
そして、2/20行動の主催者も以下の文章を発表しました! デモ当日までの警察のおかしさの全体像がわかります。不当逮捕や不起訴に向けても大きく関係すると思うので、全文転載します。ぜひお読みいただき、大きく広めて下さい!
●2.20「高江にヘリパッドを造らせるな!」アメリカ大使館抗議の暫定報告&映像は
http://d.hatena.ne.jp/hansentoteikounofesta09/20110223
http://d.hatena.ne.jp/hansentoteikounofesta09/20110307
2.20デモ・ボイコットまでの経過
「仮処分」申立・都(警視庁)の「意見書」・そして地裁による却下――「いまの政治のあり方を根底から変革することは可能だということ」!●「仮処分」申立
昨年末以来の沖縄・東村高江におけるヘリパッド工事強行に対して、私たちは防衛省やアメリカ大使館などに度々抗議行動を行いました。
とりわけ、米大使館に対する私たちの申し入れ・請願行動における大使館側および所轄警察署である赤坂署の対応は、申し入れ・請願そのものを受け付けない・させない方向へとひどくなるばかりでした。警察が現場での判断で、大使館前へ集団での移動は許さないが3〜数人ずつなら「行ってもよい」などと法的根拠があるはずもないのに「許可」したり、あるいはカメラで撮影するなら大使館前へは行かさないだとか(当然「大使館前」はまだ日本の公道)、大使館側もまた日に よって対応が異なり申し入れ文を「受け取らない」などとする日もありました。
つい8年前まで米大使館の前では普通に抗議行動や申し入れが行われていたわけで、私たちはアメリカ大使館前における言論の自由や市民的意思表示が踏みにじられている異常な状態が恒常化していることをなんとか「突破」できないものかいろいろ調べました。
そのなかで私たちが注目したのは、2008年に沖縄選出の山内徳信参院議員が米大使館周囲等での警察の規制に関して「国会質問主意書」を通じ政府答弁を引き出していたことです。
山内議員の質問
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/169/syuh/s169143.htm
政府側の回答
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/169/touh/t169143.htm
山内議員の「…警視庁が、駐日米国大使館周辺でのデモ行進を禁止するのは、いかなる法律上の根拠に基づくのか」という質問に対して、政府(当時の福田首相名)は「…在日米国大使館周辺における活動については、いずれも許可申請に基づき、適切に対応している…」と回答しています。すなわち、米大使館前で集団的な示威行動やデモをしてはならないなどという法的根拠はなく、デモをする側の意思でそのようなコースが申請されていない、というのが警視庁の理屈ということです(実際はデモ申請段階で認めてこなかったということですが)。
ならば、私たちは「デモ行進」という形態で、米大使館前で意思表示を行おう、そのためにはまず私たちの申請を警視庁に受理させて、そして100%大使館前を通るコースを警視庁と一体の都公安委員会が認めないのは確実だろうから、先方がコース変更を言い渡してきたら即座に東京地裁に申立して私たちの申請を法的に認めさせよう、、、そういう計画を立てました。
正直なところ、簡単に勝てるとは思わずとも「絶対に勝つ」というつもりで、この「申立闘争」を準備しました。そして、憲法で集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は保障されており、デモ規制を目的とした悪名高い東京都公安条例ですら「集団行進又は集団示威運動の実施が公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合の外は、これを許可しなければならない」(第3条)とされているわけで、「法の道理」が当たり前に通るならば負けるはずはない、という思いもありました。
あるいは、私たちが負けるとしても、これまで警察が現場の判断で恣意的かつ法的根拠を一切示さず行ってきた米大使館前での規制・過剰警備をどのように「法的に」正当化する論理を準備するのか、そしてその場合、地裁はどのような「法的根拠」を示すのか。。。?
予想通り、公安委員会が私たちの申請した米大使館前のコースを大きく迂回させた上でデモを「許可」したのが、本番二日前の2月18日。私たちは、即座に書面を作成して「仮処分」(ここでは使い慣れた用語として「仮処分」としていますが、正確には「仮の義務付け申立・義務付け訴訟・取消訴訟」とセットになります)申立を行い、公安委員会の「デモコース強制変更」の即時取り消しを求めました。
公安委員会がデモコースを強制変更することはままあれど、地裁に対して運動側がこのような申立を行うのは史上初ということで、私たちも弁護士さんも(おそらく警察も)勉強しながらの闘いとなりました。
・私たちの訴状
(これからリンクします)
●「怪文書」を地裁に提出した都(警視庁)
私たちが地裁に申し立てた翌日の2月19日、デモ申請段階で窓口の警視庁警備部警備連絡係に「デモコースを強制変更したら地裁に申し立てる」と宣言していたのであらかじめ準備していたと思われますが、東京都(実質は警視庁)はA4で50ページにのぼる膨大な「意見書」を私たちの主張への反論として地裁に提出しました。
この「意見書」は、とても地裁に提出するようなまともな書面と言えない「怪文書」まがいのもので、私たちは笑うかあきれるかしかありませんでした。そして、警察はデモに対して「表現の自由」という観点からではなく一貫して「治安弾圧」の対象として見ているということを露呈させており、憤りを感じました。
さすがに警察としても特定の公道をデモしてはならないと言うことはできないので、持ち出して来たのは昔ながらの「過激派キャンペーン」であり、そして「過激派やイスラム過激派がデモに混入してくることはあり得ないことではない」という論理でした。それは個人で構成されている私たちの実行委員会のメンバーが関わっている他のグループと実行委員会を強引に結びつけ、あるいは実行委員会メンバーの誰もが無関係で私たちの一連の行動に参加したこともない警察の言う「極左暴力集団」が「反基地を訴えている⇒だからデモに参加するかもしれない」などという粗雑としか言いようのない論理です。そんなことは今までなかったし今後もあり得ないことを私たちのデモをいつも沿道から監視している公安警察自身が一番知っているはずです。
あるいは、警察の言う「イスラム過激派」がデモに参加して「テロ」を行うなどということをリアリティを持って考えることができるでしょうか。日本語を習得して、来日して、異国で武器をそろえて、わざわざ警察の監視下にあるデモに潜入して「テロ」を実行する…なんて、小説のネタにもなりません。こんなことが可能だと言うのは「雨を一粒一粒よけて歩けば濡れない」というのとおなじナンセンスな形式論理にすぎません。しかし、こんな「形式論理」が通用するなら、どんな団体のデモであろうが「どこからかテロリストが潜入する」なんてことは「論理的には」あり得るわけで、警察の理屈はあらゆるデモへの過剰な規制とその禁止に道を拓くものだと指摘します。
そして、驚いたのは過去にデモ申請に赴いた実行委員会メンバー数人の実名を記載して、「このメンバーがどんなに危険な人物か」などとしていることでした。しかし、その内容は「デモ中に沿道でビラ撒きしているところを警察官がデモ行進に戻るよう促したら、執拗かつ威圧的に警察官に抗議を繰り返した」(言うまでもなくデモ中に沿道でビラをまくことを制限することが不当。また私服警官の方がどれだけ執拗で 威圧的かデモに参加したことのある方ならご存知でしょう)、「その抗議の結果、デモ行進が停滞した」(そんな事実はない)などという低次元の主張でした。果ては「ジュゴン状のアドバルーンを上空に掲げた」(笑うところでしょうか??)という程度の証明で、「このような中心メンバーが主催するデモが正常に行われるとは思えない」⇒「だから米大使館前でのデモは認められない」としているのです。
私たちは、警察がこのような低劣な文面を裁判官を本気で説得するために提出したなどと考えることはできません。警察側の意図としては、このような書面を提出すれば当然私たちも読むわけで、これはつまり、「お前たちを監視しているぞ」あるいは「警察が過激派と見なせば過激派であり、テロリストと見なせばそのように扱う」というメッセージを込めた恫喝だと考えるものです。 そして、運動内部の分断を図っていく、という寸法です。
また、唯一、裁判官に向けたメッセージとして、「チュニジア・エジプトに見られ るようにインターネットでデモを呼びかければ、参加者が爆発的に増えることも考えられる」としている点は注目するべきでしょう。そして、「意見書」の添付資料としてチュニジアのデモが拡大しているという新聞記事(1月25日付読売新聞)やエジプトのタハリール広場に100万人が結集していることを大きく写 真で報じた新聞記事(2月2日付読売新聞1面と産経新聞1面)をコピーしたものを提出しているのです。
すなわち、警察は「チュニジア・エジプト」の革命を非常に意識し、日本にまで伝播することを恐れ、地裁に「日本がチュニジア・エジプトのようになってもいいのか」と暗にメッセージを送っているのです。ここにこそ、この「怪文書」の核心があるのだと考えます。
●地裁、申立を却下-そしてデモ・ボイコット
2月19日夕方、結局東京地裁は私たちの申立を却下しました。裁判所の判断として当然と言うべきか、「特定のグループだから特定の公道を歩けない」などとするわけにもいかず、その意味では地裁は警察の「怪文書」からは距離を取っています。
地裁の却下理由としては、ただ一点「不特定多数に呼び掛けるデモを米大使館前で行うのは相当ではない」...ここに尽きます。すなわち、警察の「チュニジア・エジプトになっていいのか」というメッセージを裁判所も受け止め、その危機感を共有しているということでしょう。そして、裁判所が「言論・表現の自由」について一切触れずに、特定の公道でのデモを禁止する判断を初めて下したことは「戦後民主主義破壊史」の頂点として、記憶されるべき事柄だと考えます。
私たちは、私たちの意思と目的に沿ってデモなどの政治的意思表示を行うのであって、警察が勝手に決めたコースを歩く理由も意味もありません。したがって、2月20日当日は「官製デモコース」を拒否して、デモをボイコットしました。そして、当然の権利として新橋駅からアメリカ大使館に向かう歩道の通行を警察とのやりとりのなかで認めさせたものの、機動隊がJTビル前で阻止線を張っており、私たちが止められたところに機動隊が乱入し、参加者2人が不当逮捕されたのです。
警察がこのような弾圧を行ったのは、「意見書=怪文書」における私たちに対する「素行の悪い連中」という苦し紛れのでっちあげに信ぴょう性を持たせ、「逮捕者を出した主催者」という既成事実をつくる"ためにする弾圧"という側面も否めないかもしれません。
しかし、私たちは今回の弾圧は、昨年来から続く沖縄の「島ぐるみ」的な普天間基地撤去・辺野古新基地反対の世論と運動への挑戦であり、すぐには手を出せない辺野古の代わりに見せしめ的に暴力的な作業が続いている高江での工事強行と連なっているものだと強調します。そして、公約を破り・なんらのコンセンサスもないままに結ばれた昨年5月の「日米合意」を何としても守り抜き、そして「日米関係の改善」のためなら、米政府に対する異議申し立てや行動がふたたび大きくなる前に芽を摘んでおきたい、というのが2.20弾圧の本質です。そして、「チュニジア・エジプト」の風を絶対に日本に到達させない、という権力の意思表示と考えるべきでしょう。
しかし、法律を新たに増やして、警察や軍隊といった「暴力装置」を強大化させて、マスメディアをコントロールしても、そんな権力はいずれ倒れる、というのが一連の「ジャスミン革命」が証明していることではないでしょうか。そして、警察ひいては日本政府も倒されている独裁者たちと本質的に同じ存在であるということを自覚しているからこそ、デモを過剰に警戒し、挙句に禁止し、弾圧まで行っています。
ならば私たちは、意思表示を続け、その歩みをさらに力強いものにしていくしかありません。そして、その歩みがいつの日か、沖縄に基地を押しつけ、戦争で略奪した利益をむさぼりながら民主主義を踏みにじるいまの政治のあり方を根底から変革することは可能だということを、私たちは「チュニジア・エジプト」から学べるはずです。
米軍基地を撤去し、日米安保によって戦争に加担するあり方を終わらせるその日まで、ともに歩み続けましょう。
追記:
3月3日に不当逮捕された二人が釈放されました。しかし、いまだ処分はついておらず、「起訴」はおろか「起訴猶予」がつく可能性が残っています。「起訴猶 予」とは「悪いことはしたけど、起訴するほどではないと判断した」ということであり、そのような処分を許すことできません。2月20日の米大使館前弾圧は私たちではなく警察の犯罪だ!
引き続き、二人の「不起訴」を勝ち取るために、注目と支援をよろしくお願いします。
救援情報は「アメ大救―2.20アメリカ大使館前弾圧救援会」です。http://d.hatena.ne.jp/ametaiQ/
★2.20アメリカ大使館デモ、申請〜コース変更〜弾圧までの警察の不当な行為
★2月5日(土)実行委、デモ申請。警視庁作成、愛宕署受理
※「アメリカ大使館のまん前を通るコースの申請を警視庁警備部警備連絡係に受理させました。」
http://d.hatena.ne.jp/hansentoteikounofesta09/20110220/1298046396
★2月18日(金)実行委、アメリカ大使館に、「2月20日午後4時」で申し入れ書受け渡しのアポイントを取る。夕刻、東京都公安委員会定例会議にてデモコース・出発地点・解散地を変更されたうえで「許可証」交付。午後5時前に実行委「許可証」受領。実行委、即日で仮の意義付け申立を行う。午後10時過ぎ、地裁にて申立受理。
※「警視庁-都公安委員会がデモの出発地点・米大使館前コース・解散地点を強制変更
させる暴挙!私たちはただちに地裁に「仮処分」(仮の義務付け)申立等を行いました!」http://d.hatena.ne.jp/hansentoteikounofesta09/20110219/1298050903
★2月19日(土)午前8時ごろ、東京都が「意見書」を地裁に提出 午後1時に申立人代理人が反論書を地裁に提出。午後4時過ぎ、申立棄却の地裁決定。即日抗告せず。
※「アメリカ大使館前を通るデモコースを却下!, 「高江にヘリパッドを造らせるな!」の声を抑えつけるな!http://d.hatena.ne.jp/hansentoteikounofesta09/20110220/1298123977
★2月20日(日)午後1時半、新橋駅前にて愛宕署によるデモ出発地点変更の掲示。午後1時半過ぎ、実行委、デモ中止届を愛宕署に提出。愛宕署、デモ出発地点変更の掲示を撤去。午後3時まで新橋駅前にて情宣、その後アメリカ大使館手前のJTビル前へ全員で移動。移動を警察も了承。午後3時半、アメリカ大使館手前のJTビル前に到着。申し入れに移ろうとしたところ、警察から全員解散せよとの圧力を受け、封鎖される。午後3時39分、公務執行妨害の現行犯として2名逮捕。
※2.20「高江にヘリパッドを造らせるな!」アメリカ大使館抗議の暫定報告&映像です:
http://d.hatena.ne.jp/hansentoteikounofesta09/20110223
※「2.20アメリカ大使館前弾圧救援会」の抗議声明:http://d.hatena.ne.jp/ametaiQ/20110220
★同日夕刻、赤坂警察署前での抗議と差し入れの行動に際して、手前の公園で封鎖され、差し入れとすべての移動を妨害される。午後7時半、弁護士到着、接見と差し入れに向かうも、差し入れは禁止される。